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仮想化
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「仮想化時代」に到来する3つのテクノロジー・トレンド
グリーンIT/プロビジョニング/自律コンピューティング
(2008年01月17日)
再び訪れる自律コンピューティングの波
自律コンピューティングとは
仮想化技術やプロビジョニングが情報システムにもたらす価値は明確だが、これらが脚光を浴び、普及が進んでいくことで、さらに“その先”のテクノロジーが、以前より具体性を帯びた形で見え始めている。それは、自律コンピューティングである。
自律コンピューティングは、システム自体がみずからの構成管理やチューニングを行い、自動的に障害から復旧できるようにすることで、システム運用管理にかかる負担を大幅に軽減し、柔軟性・俊敏性を飛躍的に向上させるための技術/手法の総称である。本誌の読者であれば、5年ほど前に、ほとんどのシステム・ベンダーが自律コンピューティングのビジョンを提唱していたのを記憶している方も少なくないだろう。
自律コンピューティングの構成要素をおおまかに図示すると、図4のようになる。言うまでもないが、物理リソースの制御(設置や導入作業)は人手の介在を要するが、仮想リソースの制御はソフトウェアのみで実現することができる。ゆえに、自律コンピューティングを実現するためには、仮想化技術が全面的に採用されていることが大前提となる。
| 図4:自律コンピューティングの構成要素 |
時代のニーズに伴って重要性が増す自律化
今後、望むと望まざるとにかかわらず、情報システムの複雑性は必然的に増大していく。どこかのタイミングで、人海戦術だけに頼ったシステム運用管理が限界を迎える可能性が高い。そのときに、自律コンピューティングの採用は、ユーザー企業にとって(および、ITベンダーにとって)重要な差別化要素になるだろう。
現在、システム・ベンダーは、マーケティング・メッセージとして自律コンピューティングをかつてほど喧伝していない。しかし、これは自律コンピューティングが相当に長期的なレンジで考えるべき戦略的案件であり、短期的なメリットを求める顧客企業にとってのアピール度が低いというマーケティング的な判断によるものであり、このテクノロジーの長期的な重要性が減少したということではないと見ることができる。
図5に、IT基盤に求められる要件の変化を示した。今後、情報システムが備えるべき重要要件は柔軟性と俊敏性へシフトしていくと見られる。システムの複雑性がより増していく中で、この目的を果たすためには人手に頼った運用管理では十分ではないのは明らかだ。
| 図5:IT基盤に求められる要件の変化 |
なお、自律コンピューティングを、実用化はまだまだ先の非現実的なテクノロジーであるとの印象を持つ方もいるかもしれないが、その基本的な技術はすでに広範に利用されている。
仮想化とプロビジョニングについては今までに説明したとおりだ。自己修復機能については、クラスタリングやディザスタ・リカバリの分野ですでに実用化されている。自己チューニング機能については、OSのワークロード管理機能がこれに相当する。ワークロード管理とは、OS下で稼働する多数のプロセスの性能とリソースの使用状況を常にモニタし、総合的に最善のパフォーマンスを提供するためにリソースの割り当ての優先順位を動的に変更していくための機能である。ワークロード管理により、例えば、特定のプロセスがシステムのリソースを使い切り、他のプロセスがほとんど稼働しなくなってしまうというような状況(スターべーションと呼ばれる)を防ぎながら、高いスループットを実現できる。
メインフレームの世界においては、ワークロード管理機能が古くからOSの組み込み機能として利用されているが、オープン系システムの世界においてもワークロード管理機能の普及が進み、ベンダー間の差別化要素の1つになっている。今後、自律コンピューティングの本格的な普及に必要なブレークスルーは、これらのワークロード管理的な機能を特定のマシンや特定のベンダーの閉じた世界ではなく、複数の多様なシステムをまたがったオープンな世界で実現することである。
自律コンピューティングがもたらす次世代データセンター・ビジョン
本稿の締めくくりとして、自律コンピューティングに関するビジョンと製品体系において網羅性が高いと思われるHPの基盤戦略を例に挙げ、これからの自律コンピューティングが具体的にもたらすであろう次世代データセンターの姿について考察してみたい。
HPのIT基盤の基本戦略は、「アダプティブ・インフラストラクチャ」(変化適応型IT基盤。以下、AI)と呼ばれている。過去5年間において、HPではCEOを含む主要経営陣の交代があり、IT基盤ビジネスへの再フォーカスなど多くの戦略的変化があったが、AIへのフォーカスは変わっていない。これは、同社が自律コンピューティングという言葉こそ直接的には使っていないものの、それを長期的に重要な基盤戦略と見なしていることの表れだろう(注7)。
AIに基づくHPの次世代データセンター(NGDC)のビジョンにおいて顕著な特性の1つは、「24×7 Lights Out」の運用にある。“24×7”は、言うまでもなく日24時間、週7日間を無停止で稼働するということを指す。“Lights Out”とは、電灯を消したままの運用、つまり、人手を介さない運用を行うということだ。こうした理想の実現のために、IT基盤の構成要素を標準化・仮想化・自動化することで、あたかも製造業におけるサプライチェーンのようなイメージで、ビジネス部門に対してITサービスを提供する環境の構築を目指すというのが、HPのNGDCビジョンの中心にある(図6)。
| 図6:HPの次世代データセンター・ビジョン |
もちろん、このようなビジョンは理想的なものであり、実現には長期間を要する。一般的な企業のIT部門においては、IT基盤の構成要素を完全に標準化するだけでも相当に困難な課題となろう。しかし、理想の実現は不可能であっても、理想につながるベクトルを理解しておくことは重要だ。現時点では、そのようなベクトルに向かうための最初のステップの要素として仮想化技術があるということを認識しておくべきであろう。
以上、グリーンIT、プロビジョニング、そして、自律コンピューティングという3つのトレンドについて見てきた。これらはすべて仮想化技術を基盤として、ユーザー企業に新しい価値を提供するテクノロジーであり、CIOやITマネジャーは、仮想化技術の価値を大局的かつ長期的な視点からとらえるべきだ。単に1台のサーバで複数のOSイメージを稼働するための技術、あるいは、複数のストレージを集約するための手法と考えていたのでは、のちのち重要な機会を見失うことになるだろう。
注7:AIの上位レイヤであったアダプティブ・エンタープライズのビジョンは改訂され、BTO(Business Technology Optimization)とBIO(Business Information Optimization)という構成要素が加えられている






























