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[米国]
PCが“天体望遠鏡”に――マイクロソフトが仮想天体望遠鏡アプリ「WorldWide Telescope」を公開

何千万点もの天体写真をつないでバーチャルな宇宙空間を構築

(2008年05月15日)

 米国Microsoftは5月14日、バーチャル天体望遠鏡アプリケーション「WorldWide Telescope」のベータ版を公開した。同アプリケーションでは、何千万点という銀河系、星雲、惑星などの天体写真をつなぎ合わせることで仮想的な宇宙空間を構築し、PCを天体望遠鏡として利用した天体観測が可能である。

 TB単位の膨大な量の天体写真は、ハッブル宇宙望遠鏡やチャンドラX線観測衛星、スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)、2ミクロンスカイ・サーベイ(2MASS)などを通じて、世界各国から集められた。

 WorldWide Telescopeは、同社の研究機関であるMicrosoft Researchにより開発が進められており、「Web 2.0 Visualization Software Environment」プロジェクトと呼ばれている。Microsoftが開発した「Microsoft Visual Experience Engine」により、望遠鏡の画面を左右上下に動かすパニングやズーム機能などのほか、さまざまな情報源から収集した画像やデータの融合を実現している。

WorldWide Telescopeの画面。仮想的に構築された宇宙空間の中を縦横無尽に移動し、さまざまな天体観測機の画像を見ることが可能だ

 米国GoogleもMicrosoftと同様のオンライン天体望遠鏡アプリケーション「Google Sky」を提供している。両社のサービスはどちらも無料だが、MicrosoftのWorldWide TelescopeはアプリケーションをPCにダウンロードする必要がある。

 なお、WorldWide Telescopの開発プロジェクトは、Microsoft Researchのメンバーで、データベースのパイオニアでもあるジム・グレイ(Jim Gray)氏が始めた研究を継続・拡大したものである。しかしGray氏は、2007年1月に米国サンフランシスコ沖で同氏のボートが忽然と消えて以来、行方不明となっている。

 Gray氏は、大規模な高性能オンライン・データベースなどを手がけてきた先駆者として広く認められており、WorldWide Telescopeの技術基盤となった「SkyServer」は、同氏が開発したデータベースの1つである。さらにGray氏は、広範囲にわたる星図の作成に的を絞ったSDSSプロジェクトにも貢献している。

 WorldWide Telescopeは、Gray氏が2001年に発表した研究論文「The WorldWide Telescope」から、同氏の功績を称えて名前がつけられた。同論文は、Johns Hopkins大学の物理・天文学部教授であるアレックス・ザレー(Alex Szalay)博士との共著で、専門誌「Science Magazine」に掲載された。論文では、オンライン上での仮想的な天体観測というコンセプトは十分に実現可能だと主張されていた。

 WorldWide Telescopeの開発は、Microsoft Research Redmond研究所のNext Media Reserach Groupの責任者兼研究主任であるカーティス・ウォン(Curtis Wong)氏と、同研究所の開発者ジョナサン・フェイ(Jonathan Fay)氏が率いている。

 また、WorldWide Telescopeには、Harvard大学の天文学教授アリッサ・グッドマン(Alyssa Goodman)博士や、Chicago大学の宇宙学者マイク・グラッダース(Mike Gladders)氏など、第一線で活躍する天文学者や研究者によるガイドつきツアーも含まれている。

(John Fontana/Network World米国版)




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