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SOA

目指すは「脱ブラウザ」――スタンドアロン型リッチ・クライアント最新事情

次世代デスクトップ・プラットフォームの“本命”となるか

(2007年04月04日)

ミニ・アプリケーションの開発にしのぎを削るベンダー各社

 ベンダー各社の動向に目を向けると、ガジェット/ウィジェットと呼ばれるミニ・アプリケーション市場においては、まず、Mac OS Xの「Dashboard」や、ヤフーの「Yahoo!ウィジェット」(画面1)が先行登場し、その後、グーグルの「Google Gadgets」、マイクロソフトの「Windows Live Gadgets」などが追随する形で登場している。


画面1:「Yahoo!ウィジェット」のミニ・アプリケーション群

 この市場に関しては、今のところ先行者メリットはほとんどなく、各社とも開発者/クリエイターを取り込みながら、ミニ・アプリケーションの拡充に努めている段階だ。同市場では、より多くのより優秀な開発者/クリエイターを取り込み、魅力あるミニ・アプリケーションを数多くそろえることが優位に立つための条件となるため、ベンダー各社にとっては今が重要な時期だと言えるだろう。

 そうしたなか、マイクロソフトは、WPFや「Windows Live Gadgets」、「Windows Vista Gadgets」といった実行環境に加え、Webクリエーター向けデザイン・ツール「Microsoft Expression Studio」を提供している。また、グーグルは、ガジェット実行環境である「Google Gadgets for Web」や「Google Desktop Gadgets」のほか、専用の統合開発環境「Google Desktop Gadget Designer」や「Google Desktop SDK」を提供している。ちなみに、同社は開発者向けコンテスト「Google Desktop Gadget Contest」を開催するなど、ガジェット開発の促進に向けた活動も展開している。

Apolloが目指す“脱ブラウザ”のデスクトップRIA環境

 次世代のスタンドアロン型リッチ・クライアントとして今後注目される技術の1つに、アドビが2007年後半の正式リリースに向けて開発を進めているマルチプラットフォーム対応アプリケーション実行環境「Apollo」(画面3)がある。


画面3:Apollo上で動作するイーベイのオークション・アプリケーション

 Apolloは、Flash PlayerのようにWebブラウザにプラグインされる実行環境ではなく、複数のデスクトップOSに直接インストールするクロスプラットフォームな実行環境である。ただし同社は、ブラウザにはFlash PlayerやPDF Readerを従来どおり供給し続けることを表明しており、Apolloは、非ブラウザではなく“脱ブラウザ”を実現する技術の1つと位置づけているようだ。

 インストール可能なOSには、WindowsとMac OS X、Linuxが挙げられている(ただし、最初のリリースである「Apollo 1.0」では、WindowsとMac OS Xの両OSのみサポート予定)。とかく比較されるマイクロソフトのWPFがWindows OS上でしか動作しないことを考えると、動作可能なプラットフォームが多いという点で優位性がある。

 Apollo上では、アドビの技術であるFlash/FlexやPDFのほか、HTML、Ajaxも動作する。また、これらを混在したアプリケーションを動作させることも可能だ。図2を見ていただきたい。ここではApolloアプリケーションの形態として、4つの形態が例示されている。一番左は、ApolloアプリケーションをFlash/Flexのみで作成したもの、その右隣は、HTMLとFlash/Flexを組み合わせて作成したものとなっている。異なる技術の間でのやり取り(データのリクエスト/レスポンスなど)は、Apollo Runtimeが中継する形で行われる。また、作成したApolloアプリケーション間の連携も「Inter-Application Communication (IAC)」というプロトコルを使って通信することが可能になるという。


図2:Apolloアプリケーションのアーキテクチャ

 Apollo上でHTML/Ajaxが動作する点が想像しにくいかもしれないが、実はApolloには、Mac OS Xのデフォルト・ブラウザである「Safari」やDashboardなどにも利用されているオープンソースのHTMLエンジン「WebKit」(注3)がそのまま搭載されている。アドビによるとWebKitの採用は、いくつかのエンジンを入念に検討した結果とのことらしい。

 作成されたApolloアプリケーションには、「.air」のファイル拡張子が付けられる(本稿執筆時点での仕様)。これを何らかの方法(ブラウザやFTPなど)でダウンロードし、ダブルクリックすることによって、アプリケーションがクライアント・マシン上にインストールされる。従来のJava Web Startやマイクロソフトの「ClickOnce」のようなアプリケーションの更新・配布の仕組みがApollo 1.0で採用されるかどうかは未定だが、これらはアプリケーションの更新や修正パッチ配布を行ううえで欠かせない便利な仕組みであるため、ぜひ対応してほしいところだ。

 将来的な話では、モバイル機器を自動認識する「モバイル・アウェア」機能が実装される計画だ。これが実現すれば、一度Apolloアプリケーションを作成するだけで、モバイル機器でもPCのデスクトップでも区別なくアプリケーションを動作させることが可能になるという。

 アドビのApolloへの注力ぶりには、かつてマクロメディア時代にアプリケーション環境「Central」の普及で苦心した経験を踏まえ、何としてもApolloを普及させたいという同社の意気込みが感じられる。

注3:WebKitには、「WebKit Open Source project」と「Apple WebKit Framework for Mac OS X」の異なる2つのフレームワークがあるが、Apolloでは「WebKit Open Source project」を採用している。詳しくはhttp://webkit.org/projects/documentation/を参照のこと


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