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「エンタープライズ・ウィジェット」
その可能性と課題を探る

企業内で新たな活用領域を見いだすなか、セキュリティには手つかず

(2007年12月13日)

ランタイム・エンジンがウィジェットの稼働基盤

 ウィジェットを動かすためには、その実行環境となるランタイム・エンジンが必要となる(図1)。ランタイム・エンジンは、Windows VistaのようにOSが標準で備える場合や、ウィジェットの提供者側が用意する場合、あるいはWebブラウザ自体をランタイム・エンジンとして用いる場合がある。いずれにせよ、ウィジェットを動作させるためには、何らかの実行環境が必要であり、その上で対応したウィジェットが動くという仕組みになる。


図1:デスクトップ・ウィジェットの仕組み

 現在、ウィジェットのランタイム・エンジンは、マイクロソフトやヤフー、グーグル、アップルのようなグローバルなプレーヤーに加えて、「GIZMO」を開発する日本のantsなどが提供している。

 ウィジェットによっては、Windows上のランタイム・エンジンでしか動作しないもの(マイクロソフトのWindowsサイドバー・ガジェット)、Mac OS Xでしか動作しないもの(アップルのDashboardウィジェット)などがある。主なウィジェットと、ランタイム・エンジンなどの必要な環境を表1に記す。これらのほか、アドビ システムズが開発中の「Adobe AIR(Adobe Integrated Runtime)」も、ウィジェット用ランタイム・エンジンとして注目すべきものの1つだ。


表1:主なウィジェットと動作環境 ※「公開されているウィジェット数」は2007年10月23日時点での調査による

通常のアプリよりも開発の敷居は低い

 ウィジェットの開発は、C++やVisual Basicによる通常のアプリケーション開発に比べて、はるかに容易に行える。

 ウィジェットの中身は、Webコンテンツに近いもので構成されている。ウィジェットの名前や作者といった基本情報をXMLで記述したマニフェスト・ファイル、ウィジェット本体のデータ構造などを記述するためのHTML/XMLファイル、アプリケーションとしての動作を記述するJavaScriptファイル、ウィジェットの外観などを規定するCSS(Cascading Style Sheets)ファイルといったものが含まれている。

 このようにウィジェットでは、Webコンテンツ開発の技術が用いられている。そのため、開発に対する敷居は低いと言えよう。

 なお、デスクトップ・ウィジェットとWebウィジェットでは、ローカルで実行させるか、サーバ上で実行させるかという違いはあるが、開発方法に関して言えばほとんど同じだ。

互換性確保という課題と解決のための取り組み

 どのウィジェットも基本構造は似ているものの、現状では異なるランタイム・エンジン向けに開発されたウィジェット間では互換性が確保されていない。同様の技術で開発されているとは言っても、細かい仕様が異なるためだ。

 このウィジェット間の互換性確保という課題を解決しようと、現在、W3Cにおいて「Widgets 1.0」と呼ばれる標準規格の策定が進められている。その進捗状況は、2007年10月に2回目のワーキング・ドラフトが公開された段階だ。

 一方、こうした標準規格の策定を待たずに、種類の異なるウィジェットの相互利用の仕組みを独自に構築しようという動きがある。ネットバイブスが開発した「Universal Widget API」というウィジェット用APIが、それである。このAPIを使ってウィジェットの開発を行うと、NetvibesやiGoogleといったWeb上のプラットフォームに加え、Windows VistaサイドバーやアップルのDashboardなどのデスクトップ・プラットフォーム、さらにはiPhone、Operaなどの携帯プラットフォームでも使用できるウィジェットを一度に開発することができる。

 このようにウィジェットの互換性確保に向けた動きはあるが、肝心の大手ベンダー(ヤフー、グーグル、マイクロソフト)は、開発者やユーザーの囲い込みに熱心で、互換性の問題については動きが鈍いのが現状だ。大手ベンダーが提供するウィジェット間で相互利用が実現されなければ、ユーザーが享受できる利便性は限定的なものになるだろう。


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